前回は
中国で頑張っているうえしまさんについて紹介しました。
そんな中国での「自転車についている変な日本語ラベル探索」は苦しい作業ですが、
それだけに変な日本語を見つけた時の喜びは何物にも代え難いものです。
そんなある日のこと。
13億台の自転車が行き来する中国。
日本人が忘れてしまった「美」を、そこに見つけました。

「きぬちゑわ」
そこには既に忘れ去られたひらがなが、生き生きと芽吹いていました。
まるで大正時代のような、そんな暖かさを感じます。
しか意味不明です。
この国には、日本人が忘れてしまつた暖かさがまだ残つてゐました。
続いて驚愕したのがこの写真。
なんと、前回見つけた大辞林に載っていない「ひきさい」のグリーンバージョン!!
さらに「ひきさい」の漢字表記まで明らかになりました。
「日木佐治」………
謎は深まるばかりです。
「あひだリ」
よく見ると「リ」がカタカナなのがチャーミングポイントです。
謎の赤いテープをバックに「あひだり」
シュールです。

「ほめるうつく」!!!
なにやら文章を途中で切り取った感が満載です。
一体何が言いたいのでしょうか、それを教えてくれる手がかりは全くありません。
この、何とも煮え切らない感じが、「ほめるうつく」を更に魅力的な記号に変えています。
そして最後の作品。
「さひんた」
まるで沖縄料理に出てきそうな響きです。
おやっさん、泡盛と「さひんた」ひとつお願い!
しかし、「さひんた」を前から見た時に、驚愕の事実を発見してしまいました。

「さん」
そう、そうなのです。
もののけ姫に出てくる、あの白い犬に乗っているお姫様です。
なぜたたら場から中国に来てしまったのかわかりませんが、
そこには「さん」の変わり果てた姿がありました。
「アシタカは好きだ、でも人間は嫌いだ」と言いながら、なぜか世界で最も人口の多い中国に来てしまった「さん」。
残念ながら「あしたか」と書かれた自転車は見つかりませんでした。
忘れ去られたひらがな「ゑ」の再発見、中国で活躍するうえしまさん、そしてもののけ姫の「さん」。
日本人の知らない日本が、中国には人知れず眠っているようです。